【働き蜂は全部メス！？】針なしニートの衝撃的な結末とは

実は、巣作り、幼虫の世話、蜜や花粉の採取はすべて「メス」が行っているのです。では、蜂のオスは一体何をしているのでしょうか。子孫を残している限りオスは存在しますが、実際どのような生活をしてるのか知らない人も多いのではないでしょうか。

今回は、蜂駆除業者の私が、「蜂についての豆知識」をわかりやすく解説します。

働き蜂＝メスという真実

あなたが普段見る蜂は、すべてメス！

巣作り、食料の調達、育児、防衛。蜂の社会を維持するためのあらゆる労働は、すべてメスである「働き蜂」によって行われています。

なぜメスだけが働くのか？

働き蜂がすべてメスである理由は、「彼女たちの体のつくり」と「蜂社会の仕組み」にあります。たとえば、外の敵と戦うために使われる「針」は、もともと卵を産むための産卵管が変化したもので、メスしか持っていないのです。

また、女王蜂は卵を産むことに特化した存在です。 その女王蜂を、同じ遺伝子を持つ姉妹である働き蜂が支えることで、巣の集団（蜂の社会）はうまく成り立ち、どんどん大きくなっていきます。 こうして、巣の中ではメスが働く立場になったのです。

女系社会でオスが果たす役割とは？

このように、蜂の巣は女王蜂を頂点とした、一生懸命なメスたちによって成り立つ「女系社会」と言えます。では、メスたちが社会のすべてを支えている一方で、オスは何のために存在し、日々をどのように過ごしているのでしょうか。謎に包まれたオス蜂の一生に迫っていきます。

蜂のオスは何をしてる？知られざる4つの特徴

①何もしないのが仕事？巣の中の「ニート」の日常とは

働き蜂たちが、夜明けから日没まで餌集め、巣作り、育児、巣の防衛と、休む暇もなく働く一方で、オス蜂たちは一体何をしているのでしょうか。

答えは、「何もしてません」。

彼らは巣の中でブラブラと過ごし、お腹が空けば働き蜂に餌をねだり、外敵と戦うこともしません。働き蜂たちが必死に集めてきた蜜や花粉を消費するだけ。人間社会にたとえるなら、まさに「ニート」のような存在です。

②蜂なのに刺さない！針を持たない平和主義者

「蜂に刺される！」というのは、私たちが蜂に対して抱く最も強い恐怖心の一つでしょう。しかし、オスの蜂は伝家の宝刀である「針」を持っていないのです。

11月19日、瀬戸内市の前島に観察会の下見に行ってきました。キヅタの花に吸蜜に訪れていたオオスズメバチのオスを発見。触角の長さ、背中の模様、おしりの形をよーく確認して、手づかみ！毒針を持たないオス蜂は刺しません！観察会の本番は12月17日。スズメバチはもういないかな。 pic.twitter.com/vn7l8NWabf

— パオちゃん（倉敷市立自然史博物館） (@kura_n_h_museum) November 21, 2023

なぜなら、蜂の針は、もともと卵を産むための「産卵管」が変化してできた器官だからです。卵を産む能力のないオス蜂には、産卵管がなく、したがって針も存在しないのです。

そのため、オス蜂はどんなに追い詰められても、私たち人間を刺すことは絶対にありません。攻撃手段を持たない彼らは、蜂の世界では非常に無防備で平和的な存在と言えるでしょう。

③たった一度の恋に命を懸ける！オス蜂、唯一の使命とは

働かず、巣の防衛もせず、ただ餌をもらって過ごすだけのオス蜂。では、彼らは何のために生まれてきたのでしょうか。その答えは、「女王蜂と交尾し、子孫を残すこと」。これこそが、オス蜂に与えられた最大の使命なのです。

初夏になると、新しく生まれた女王蜂が巣から飛び立ちます。一生に一度だけ「結婚飛行」という特別な飛行を行うので、まわりの巣からたくさんのオス蜂が集まり、空の上で女王蜂と結婚するための競争をくり広げるのです。

何百、何千というライバルの中から女王蜂に選ばれるのは、最も速く、最もたくましく飛べる、ほんの数匹のオスだけ。そして、見事女王蜂との交尾に成功したオス蜂を待っているのは、感動的な結末…ではなく、衝撃的な最期。なんとオス蜂は交尾が終わると、役目を果たした代償として、そのまま息絶えるのです。

④悲しき独身貴族の末路…巣から追い出されるオスの運命

結婚飛行という一大イベント。しかし、すべてのオス蜂が女王蜂と結婚できるわけではありません。実は大多数のオス蜂は、女王蜂に選ばれることなく、交尾の機会を失ってしまいます。

交尾の時期を過ぎ、空しく巣に戻ってきたオス蜂たちを待っているのは、あまりにも非情な現実です。子孫を残すという唯一の役割を果たせなかったオス蜂は、もはや巣にとって「不要な存在」。働き蜂たちの態度は一変し、今まで餌を与えて世話をしてきたオス蜂たちに対し、餌を与えるのをやめ、力づくで巣の外へと追い出し始めるのです。

まさに「子どもを作れないオスは家にいらない」という、自然界の厳しい掟が実行されます。体力もなく、自力で餌を獲るすべも知らないオス蜂たちは、巣の外の寒さと飢えの中で、静かにその一生を終えるしかありません。

切なくも美しい、オス蜂の生き様

働かないニート、子孫を残すためだけの存在、交尾をすれば息途絶え、できなければ追い出される。オス蜂の一生は、非常に切なく、儚いものに映るかもしれません。しかし、彼らは自らに与えられた役割を全うするために生きています。次世代に命をつなぐという、種の存続にとって最も重要な使命を、その身を挺して果たすのです。

働き蜂が「個」として巣を支えるなら、オス蜂は「種」の繁栄そのものを担っていると言えるでしょう。一見すると無駄で悲劇的に思えるオス蜂の生き様も、蜂という種が繁栄していくための、計算され尽くした生存戦略の一部なのです。

交尾に成功したオスはその後死んでしまいます。交尾に成功しなくても、繁殖期を過ぎた働かないオスは巣のなかで煙たがられ、働き蜂に追い出されてしまうこともあるといいます。ぐうたら暮らしで、働き者のメスたちに自分の世話をさせつつ、繁殖能力がなくなったら捨てられる…。

https://bowlmix.com/story/1899

まとめ：蜂の巣を見つけたらご連絡ください！

今回は、「なぜ働き蜂はメスだけなのか」、「蜂のオスは何をしてる？知られざる4つの特徴」、「切なくも美しい、オスの生き様」について紹介しました。オス蜂が働かず、メス蜂だけがせっせと巣を守り、働いているという意外な事実に驚かれた方も多いのではないでしょうか。

また、オス蜂には「針」がない一方で、メス蜂は刺す能力があるため、私たちにとっては十分な危険性を持つ存在です。そのため、蜂の巣を見つけた際には決してご自身で対処しようとせず、専門の業者に相談することをおすすめします。

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ご自身やご家族の安全のためにも、まずはお気軽にご相談ください。